発狂しそうな3浪東大受験生が東大に合格した話

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以前に書いた「ハーフの中学生が、ask.fmでの適当な相談をきっかけに人生を好転させた話」はだいぶバズって、たくさんの人に読んでもらえてありがたいが、あれほどいい話ではないものの、似たような話が、ask.fm関係でほかにもあったことを思い出した。

東大を目指して3浪して、次が4回目の受験だが、今回が本当にラストチャンスであり、あと20日間で本番だが、プレッシャーで発狂してしまいそうだという相談が僕のask.fmに来た時の事だ。

発狂しそうな3浪目の東大受験生です。センター試験は過去最高の点数だったのですが、試験日が近づき不安で定期的に嗚咽が止まりません。今迄に比べ限界値まで努力はしてきましたが、過去3回の失敗が頭に浮かび死にたくなります。これが本当にラストチャンスです。私はあと20日程度どのように過ごしたらいいでしょうか。 | ask.fm/M_znu

たかが受験ぐらいで大げさだと思うかもしれない。ただ、僕も同じように、会計士試験で3回連続短答式試験という足切り試験で落ちて、4回目の試験で合格した経験があり、本当につらかったので、彼の気持ちはよくわかった。その時の経緯はブログでも書いたことがある。

popaikenzo.hatenadiary.jp

本当に自分を追い込んでうける試験ほど辛いものはない。それまでの数年間の努力がたった数時間の数枚の紙の記載で評価されるのだ。そして、結果次第で人生は大きく変わる。

それから10数年以上仕事をしてきたが、人生を賭けた時の試験の辛さに比べれば、仕事の辛さなど児戯に等しい。1/10以下だ。僕には彼の気持ちがよくわかった。発狂という表現も大げさではないだろう。

だから、僕は以下のように回答した。

「本当に自分を追い込んで受ける試験の前って極限状態になりますよね。視野も恐ろしく狭くなります。
多分綺麗事にしか聞こえないでしょうが、貴方がそこまで自分を追い込んで努力した事が、後で必ず役に立ちます。そこまで自分は追い込めたのであれば、別に東大にうかろうがうかるまいが、もっと大事な能力を身につけていますので、合否はそれほど貴方の人生に影響を与えないでしょう。

普通の人は同じ大学を4回も受験するチャンスなど与えられませんから、その意味では貴方は恵まれています。本来は無かったはずの4回目が奇跡的にある。うかれば儲けモノです。貴方がやってきた事をぶつけても、それでも合格できないなら、入らない方がいいのです。今はわからないかもしれませんが、そういう事は世の中に多くあります。絶対に今回合格しなければと思ったら多分負けます。」

試験に限らないが、我々人間は、結果をコントロールすることはできない。我々にコントロールできるのは自分の行動だけであって、そこでベストを尽くして結果は運に任せるしかない。その理不尽さに心を乱されず、結果のために唯一コントロール可能な自分の行動を、確実にコントロールすることでしか結果はついてこない。彼の頭から、可能な限り、結果のことを追い出したかった。

そして、合否はどうあれ、そこまで自分を追い込めた経験や受験によって得た知識や能力が確実にこれからの彼の人生に寄与すると思ったのも事実だ。しかし、「合否は貴方の人生に影響を与えない」は、はっきり言って嘘だ。。それだけ何年間も真剣に打ち込んできたチャレンジの結果、良し悪しはともかく、結果が人生に影響を与えないはずがない。でも、それだけ彼が努力してもここで合格できないなら、本当に入らないほうがいいと思った。試験は本当につらいが、そこで失敗したからといって、取り返しがつかないほど、人生はシンプルなものではなく、それを糧にできるかどうかは、彼次第と思うからだ。

結果はどうあれ、彼が実力を出し切って後悔のないように受験をしてほしかった。たかが東大受験程度で、ここまで自分を追い込めて勉強できたのだから、自分の実力さえ出せれば受からないはずはないと思った。箸にも棒にもかからない成績なら自分を追い込むことができないからだ。

そして桜は咲いた。

結果報告

発狂しそうだった東大受験生です。なんとこの度合格することができました。 不安で何度か過呼吸を起こしてしまいましたが、Mさんのアドバイスを受けて、合格にばかり固執して追い込んできた自分を見直し、直前だからこそこれで合格しないなら入らなくてもいいと自分に言い聞かせ、フラットな気持ちで受験することができました。 試験後は様々なことから解放されたこともあって、帰りの電車の中で泣いてしまいましたが、すごい充実感の中で発表の時を待っていました。 3回落ちているので自分の番号が掲示されてるなんてまだ夢のようです。3年遅れとなりますがやっと東大生になれたので目一杯楽しんで勉強したいと思います。 | ask.fm/M_znu

何より彼が強いマインドで試験をうけることができ、満足した状態で結果発表を迎えられることがよかったと思った。だからそう回答した。

「おめでとうございます。あの回答をTLに流した時に「多分この人はうかる」と言った人がいたのですが、後付でなく僕もそう思っていました。そこまで自分を追い込んだ上で、合格できない試験は世の中にそうないと思うからです。ただ、それを回答に書かなかったのは合否をできるだけ頭から除いた上で、自分の力を出し切ることだけに集中して試験に臨んでほしいと思ったからです。東大に合格したことよりも、限界まで自分を追い込んでかつ目標とする結果を出した事がすばらしいと思いますし、それが貴方の財産になると思います。」

常々不思議なのだが、たとえば高校自体に部活に打ち込んだり、同級生たちと恋愛にうつつを抜かすことは青春の1ページとして、美化された形で表現されることが多い。しかし、10代に勉強に打ち込むことは、ガリ勉や根暗としてネガティブなイメージで語られることが多い。これはおかしな話だ。

勉強であれ、運動であれ、恋愛であれ、自分のすべてを賭けて挑戦することが尊いのであって、その対象で差別されるべきではない。

彼の必死の努力は、東大の学歴よりも、彼の人生の財産になるはずだと確信している。最後に羽生さんの名言でこのエントリーをしめくくりたい。

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