池袋の暴走事故現場で被害者の遺族とお会いした話

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池袋暴走事故の被害者の遺族が、新たに会見をされた。前に事故現場に行って献花台に祈りを捧げた話はこのブログに書いたが、その時には書けなかった話がある。被害者の旦那様が、事故現場に行かれた事を自ら明かしたのであれば、もうこの話は書いてもいいだろうと思う。

GWのこと

当日は、ちょうど東池袋トイザらスに用事があって、出かけた。6歳の息子、3歳の娘の入学祝いにおもちゃを買ってあげるためだ。用事が済んだ後に、妻が池袋の事故の献花台に行こうと言った。彼女は既に献花台に訪問して、祈りを捧げていたらしい。家も近く、同い年の娘もいたので他人事と思えないと。

僕だってそうだ。特に突然最愛の妻と娘を失った旦那様の気持ちを一瞬でも想像すると、リアルに具合が悪くなり、吐き気がするほどつらかった。自分が同じ立場ならきっと耐えられないと思うからだ。行かなければならないだろうと思いながら、行きたくなかった。でも、妻が言うから、重い足取りで献花台に行き、並んでいる花や飲み物を見たら、本当に二人が、ボケ老人に殺されてしまった事が実感され、顔を両手で覆って大声で泣いてしまった。隣で妻が「マジで…」と呟く声が聞こえてきた。

旦那様や亡くなられた奥様の無念を思うと、感情が抑えきれなかった。一緒にいた娘が怯えてしまったので、そこから立ち去ることにした。

そして、現場から駅に向かっていると、妻がなかなか着いてこない。振り返ると、ニット帽をしてマスクをした男性と話し込んでいる。なんだろうと思った。妻が僕を手を振って呼び寄せた。まさかまさかと心臓が動悸を始めた。駆け寄ってみると、妻が泣きながらこちらを見て「事故で亡くなった子のお父さん…」とだけ言ってまた泣いた。

何を言えばいいのか

妻が言うには、私たちの後ろを旦那様が付いてこられて、ニット帽にマスクをしていたが、妻は記者会見を見ていたので、すぐに気が付いて、お父さんですよね?と聞いたら、はい、と言ってあちらから、話しかけてこられたらしい。

目を初めて合わせたが、頰がげっそりとこけ、端的に言って目に全く光がなく、死んでいた。今までの人生でこんな目をした人を見た事がなかった。何も言えなかった。

彼はボソボソと語り始めた。

「今日初めて献花台に来たが、旦那さん(僕)が見ず知らずの妻と娘のためにあんなに泣いてくださってるのを見て、お礼を言いたくなって付いてきてしまいました」

「たくさんの人が来てくださっていると聞いていたので、早く来たかったんですが、なかなか来れなくて、今日やっと来れました。
皆さんにお礼を言わなきゃいけないんですが、それはできないから、せめてと思い後を付いてきた」と仰った。

僕の目をまっすぐ見て「見ず知らずの妻と娘のために、こんなに心を寄せていただいてありがとうございました」と言って、ぺこりと頭を下げた。

この人は何を考えているんだと思った。

自分が死んだ方がマシなぐらいの生き地獄にいるのに、なんで通りすがりの他人への感謝なんてまだ残ってるんだよ、なんでフラフラの足で追いかけて来るんだよと思い、みっともなく泣くことしかできなかった。

いくら僕が心を寄せたところで、自分の家族は健在で、彼の気持ちなんてわかるはずもない。何も言えなかった。頑張ってくださいと言おうと思ったが、生きてるだけで既に想像を絶する努力だし、握手もできない。

妻が、「私は加害者を許せません」と言いかけたが、静止した。彼は自分の感情や恨み言は何も言わなかったから。わざわざ追いかけてきてくれたことに感謝を伝えて、その場を去った。

その後

家族と別れて、その辺りをウロウロしていた。

また旦那様が歩いているのを見かけた。きっと一人でいるのは辛いだろうから、お茶でもしませんかと言おうと思い、後ろを追いかけたが、僕は彼の友達でも何でもなく、声をかけられても困るだろうと思い、すぐそこにある背中を見送ることしかできなかった。

その日も次の日も彼の事が頭から離れなかった。女の子連れのお父さんを見たりすると、彼も事故さえなければ、幸せなGWを過ごせたのにと思ったりした。もし自分が彼の同じ立場になったらと思うと恐怖を感じた。

でも、結局は、自分にとって大切な人間を失わず、五体満足のまま一日を終えられる事を毎日感謝して、日々を積み上げていくしかないと考えるようになった。今日、家族も自分も五体満足で過ごせたのは、当たり前の事ではなく、単なる奇跡であって、明日は誰かが死ぬかもしれないが、今日、皆が生き延びれたことを感謝しようと思った。

今日久しぶりに記者会見で話す彼を見た。生き地獄にいるようで、毎日朝起きると二人を失った事を思い知らさられると言っていた。

彼は現場に来たことをマスコミに知られたくないと言っていたので、今までこの話は黙っていた。しかし、今日の記者会見で現場には既に4回行った事を本人が明らかにした。

被害者遺族の人柄や苦しみが少しでも伝わればいいと思って、このエントリーを書いた。皆様がこの事故について、何かを考えるきっかけを提供できたとしたら、大変幸いに思います。。

 

追記: このエントリーに対して削除などの要望ある場合には、ツイッターアカウント@c_s8fまでdmでご連絡お願いいたします。

 

 

 

発狂しそうな3浪東大受験生が東大に合格した話

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以前に書いた「ハーフの中学生が、ask.fmでの適当な相談をきっかけに人生を好転させた話」はだいぶバズって、たくさんの人に読んでもらえてありがたいが、あれほどいい話ではないものの、似たような話が、ask.fm関係でほかにもあったことを思い出した。

東大を目指して3浪して、次が4回目の受験だが、今回が本当にラストチャンスであり、あと20日間で本番だが、プレッシャーで発狂してしまいそうだという相談が僕のask.fmに来た時の事だ。

発狂しそうな3浪目の東大受験生です。センター試験は過去最高の点数だったのですが、試験日が近づき不安で定期的に嗚咽が止まりません。今迄に比べ限界値まで努力はしてきましたが、過去3回の失敗が頭に浮かび死にたくなります。これが本当にラストチャンスです。私はあと20日程度どのように過ごしたらいいでしょうか。 | ask.fm/M_znu

たかが受験ぐらいで大げさだと思うかもしれない。ただ、僕も同じように、会計士試験で3回連続短答式試験という足切り試験で落ちて、4回目の試験で合格した経験があり、本当につらかったので、彼の気持ちはよくわかった。その時の経緯はブログでも書いたことがある。

popaikenzo.hatenadiary.jp

本当に自分を追い込んでうける試験ほど辛いものはない。それまでの数年間の努力がたった数時間の数枚の紙の記載で評価されるのだ。そして、結果次第で人生は大きく変わる。

それから10数年以上仕事をしてきたが、人生を賭けた時の試験の辛さに比べれば、仕事の辛さなど児戯に等しい。1/10以下だ。僕には彼の気持ちがよくわかった。発狂という表現も大げさではないだろう。

だから、僕は以下のように回答した。

「本当に自分を追い込んで受ける試験の前って極限状態になりますよね。視野も恐ろしく狭くなります。
多分綺麗事にしか聞こえないでしょうが、貴方がそこまで自分を追い込んで努力した事が、後で必ず役に立ちます。そこまで自分は追い込めたのであれば、別に東大にうかろうがうかるまいが、もっと大事な能力を身につけていますので、合否はそれほど貴方の人生に影響を与えないでしょう。

普通の人は同じ大学を4回も受験するチャンスなど与えられませんから、その意味では貴方は恵まれています。本来は無かったはずの4回目が奇跡的にある。うかれば儲けモノです。貴方がやってきた事をぶつけても、それでも合格できないなら、入らない方がいいのです。今はわからないかもしれませんが、そういう事は世の中に多くあります。絶対に今回合格しなければと思ったら多分負けます。」

試験に限らないが、我々人間は、結果をコントロールすることはできない。我々にコントロールできるのは自分の行動だけであって、そこでベストを尽くして結果は運に任せるしかない。その理不尽さに心を乱されず、結果のために唯一コントロール可能な自分の行動を、確実にコントロールすることでしか結果はついてこない。彼の頭から、可能な限り、結果のことを追い出したかった。

そして、合否はどうあれ、そこまで自分を追い込めた経験や受験によって得た知識や能力が確実にこれからの彼の人生に寄与すると思ったのも事実だ。しかし、「合否は貴方の人生に影響を与えない」は、はっきり言って嘘だ。。それだけ何年間も真剣に打ち込んできたチャレンジの結果、良し悪しはともかく、結果が人生に影響を与えないはずがない。でも、それだけ彼が努力してもここで合格できないなら、本当に入らないほうがいいと思った。試験は本当につらいが、そこで失敗したからといって、取り返しがつかないほど、人生はシンプルなものではなく、それを糧にできるかどうかは、彼次第と思うからだ。

結果はどうあれ、彼が実力を出し切って後悔のないように受験をしてほしかった。たかが東大受験程度で、ここまで自分を追い込めて勉強できたのだから、自分の実力さえ出せれば受からないはずはないと思った。箸にも棒にもかからない成績なら自分を追い込むことができないからだ。

そして桜は咲いた。

結果報告

発狂しそうだった東大受験生です。なんとこの度合格することができました。 不安で何度か過呼吸を起こしてしまいましたが、Mさんのアドバイスを受けて、合格にばかり固執して追い込んできた自分を見直し、直前だからこそこれで合格しないなら入らなくてもいいと自分に言い聞かせ、フラットな気持ちで受験することができました。 試験後は様々なことから解放されたこともあって、帰りの電車の中で泣いてしまいましたが、すごい充実感の中で発表の時を待っていました。 3回落ちているので自分の番号が掲示されてるなんてまだ夢のようです。3年遅れとなりますがやっと東大生になれたので目一杯楽しんで勉強したいと思います。 | ask.fm/M_znu

何より彼が強いマインドで試験をうけることができ、満足した状態で結果発表を迎えられることがよかったと思った。だからそう回答した。

「おめでとうございます。あの回答をTLに流した時に「多分この人はうかる」と言った人がいたのですが、後付でなく僕もそう思っていました。そこまで自分を追い込んだ上で、合格できない試験は世の中にそうないと思うからです。ただ、それを回答に書かなかったのは合否をできるだけ頭から除いた上で、自分の力を出し切ることだけに集中して試験に臨んでほしいと思ったからです。東大に合格したことよりも、限界まで自分を追い込んでかつ目標とする結果を出した事がすばらしいと思いますし、それが貴方の財産になると思います。」

常々不思議なのだが、たとえば高校自体に部活に打ち込んだり、同級生たちと恋愛にうつつを抜かすことは青春の1ページとして、美化された形で表現されることが多い。しかし、10代に勉強に打ち込むことは、ガリ勉や根暗としてネガティブなイメージで語られることが多い。これはおかしな話だ。

勉強であれ、運動であれ、恋愛であれ、自分のすべてを賭けて挑戦することが尊いのであって、その対象で差別されるべきではない。

彼の必死の努力は、東大の学歴よりも、彼の人生の財産になるはずだと確信している。最後に羽生さんの名言でこのエントリーをしめくくりたい。

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仕事が遅い人、その原因と対策

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ある女性が、自分が仕事が遅いことで悩んでおり、その相談に乗っている時に、仕事が遅い人には一定の共通点があるのではないかと思った。それらをパターン化できれば対策を立てる事も可能なはずである。僕自身はやや雑だが、仕事は早い方だとは思う。

以下に、仕事が遅い人に共通する特徴を列挙してみたい。一言で言うと、真面目さが悪い方に出ている人が多い気がする。

時間をかけるべきタスクとそうでないタスクの区別がついておらず、取捨選択ができない

仕事が早い人というのは、処理能力が必ずしも高いというわけではなく、時間をかけるべき仕事とそうでない仕事の見極めがうまい。

全体の中で自分のやる作業がどういう意味を持っているのかよくわかっているから、あまり重要性のない作業はやらなかったり、手を抜いたりして、しかし影響度の高い重要な仕事な仕事には時間をかけるクセがついている。

例えば、資料一つ作るにしても誰も真剣に見ない資料は適当に作るし、皆が熟読する重要な資料は徹底的に時間をかける。

仕事が遅い女性にそういう話をしたところ、「手を抜いていい仕事があるという発想がなかった」と言っていた。それは遅くなるだろうな、、

手を抜く事は悪い事と思っていて、真面目さが悪い方に出ているのである。しかし、真面目である事より、成果が出ないことの方が、周りに迷惑をかける事もある。

人に聞かずに自分で解決しようとする

手が止まっている時間が長いほど、仕事は遅くなる。もちろん考えないで仕事をするのはダメだが、どうせ人間一人で考えて出てくる発想なんてたかが知れてるので、ある程度考えたら他人に意見を求めた方がいい。仕事が遅い人はそれができない。自分で解決しようとしていつまでも考えているから作業が進まない。なぜ聞かないのかと聞くと、聞くことが恥ずかしかったり、聞く事で他人の時間を奪ってしまうのが申し訳ないという。でも仕事が進まなければかえって周りに迷惑をかけるし、聞くことが恥ずかしいという発想は、成果を出す事よりも、自分のプライドや気持ちを重視してしまっているということになる。

僕の会社は毎年新人が入ってくるが、その後に伸びる新人はとにかく聞いてくる。伸びてこない新人はあまり聞かない。新人ながらいい仕事をしようと思えば嫌でも聞くしかないから、それが出来る人は、最初から結果にこだわるマインドがあるということだと思う。

結果を出すことよりも、真面目に取り組む事を重視している

仕事が遅い人の中には、仕事が遅くても真面目にやっていれば許されるという気持ちがどこかにあるように思う。逆に結果に問題がなくても手を抜いて作業した場合には、その事に罪悪感を感じていたりすることもある。同じ成果なら時間が短いほど生産性は高いのに!

結果を出す事よりも、自分がその過程において真面目であったかどうかを重視する姿勢は、結果に影響を受ける他人の事より、自己満足に重きを置いていることになり、実はエゴイストなんじゃないかと思う事もある。

では、仕事を早くするには?

上記の逆をやればいい。手を抜いていい仕事と時間をかけるべき仕事を色分けして、リソース配分する。その配分の仕方がわからなければ他人に聞く。真面目に取り組む事自体に価値はなく、どれだけ手を抜いて同じ結果を出すかという発想にマインドを変える。真面目さそのものには別に価値はないと割り切ってしまう。

なぜ自分は仕事が遅いのか、わかっていない人もいる。毎日どの仕事を何時間で終わらせるか計画を立てて、計画通りに仕事が終わったかどうかチェックするのも有効だ。仕事が遅い人は大体頑固なのだが、自分のやり方を変えない限り早くなる事はないので、何かを変える事が大事だと思う。

城崎の伝説のストリップ 「炎」に行った

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僕の友人がミクシィ日記で書いていたエントリーで、その当時から大好きなので、皆さんにも紹介します。

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タイトル「シモい日記です。男だけ見たらいいんじゃないかな」

こないだの日記の補足をしたくなった。

が、上品になりえない話なので
女性の皆さんは戻るボタンを連打したらいいんじゃないかな。

城崎の、「ホムラ」について。

正式名称「ヌード炎」。城崎にある、絶滅寸前のストリップである。

城崎に行った人はわかるだろうが、あの街にストリップなんて見当たらない。
が、ある。あるのだ。1軒。
細い細い細い小さな路地に、赤い看板で『ヌード 炎』と書いてある。

事の発端は、5年ほど前の話になる。 俺の先輩が、卒業旅行で城崎に行ったら 、同行していた数人が「とんでもない物を見た」というのだ。

それは、自分の母親ほどの年齢のオバハンが一糸纏わぬ姿になり、さして色気もない踊りを踊るストリップだというのだ。
また、とんでもない零細経営らしく、受付のおばちゃんがそのまま舞台に上がり脱いだらしい。
かつ、値段は1500円、そこらのちょっといいランチくらいの値段だというのだ。

な、なんだってー!!

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先輩に『・・・っていう店があるらしいで』と聞いた俺は またしょうもない嘘ついてからに、と思い、別の先輩と確認の為に城崎へと向かった。

ところが、案の定、さまよい歩いてもストリップなどない。

店の名前の「炎」だけは聞いていたので、街の住人に聞いてみた。
が、「ストリップどこですか」なんて死んでも聞きたくないので小芝居を交え「炎ってカラオケ屋、どこですか?いや、社員旅行なんですが部長が電話で『お前も来い』と言ってきまして・・・」
『あー、炎?あれはカラオケ屋やないんとちゃうかな?確か、○○らへんにあったような・・・そこら辺でまた聞いてごらん?』

こんな恥ずかしいやりとりは、そう何度もしたくないので 指示された辺りを念入りに探すが、やはりない。
みやげ物屋のおばちゃんが居るだけだ。

また別の人に聞いてみると
『ああ、炎?あの店は潰れたよ』
といわれた。

何てことだ、もうないのか・・・

そう思い、うなだれつつも「まぁ、存在自体は確認できたし、あながち嘘でもないのかな」と先輩と話つつ、「せっかくやし温泉入るか」と歩いていたら

『おかえり』

突如、さきほどウロついてたあたりでおばちゃんが話しかけてきた。
ホンマにいきなり話しかけてきたからビビッた。

『あんたらが探してるの、ウチの店やろ。炎や』
『私はな、もう長いことやってるからな、わかるんや。裸が見たいんやろ』

な、なんだってー!

地元の人間にまで「もう潰れた」と言わしめながらも、とんでもない洞察力でヘッドハンティングによる経営を行っていたのか!

先輩とおそるおそる肯定し、案内についていく。 そこは確かに先ほども探していた辺りだが、あまりに細い道だったので見ようともしてなかった。とてもではないが客商売をする立地ではない。

『一人、2千円やで』

ね、値上げしてるー!!

情報より500円高いだけだが、値上げ率は相当なものだ。
小さな芝居小屋のような建物に入り、席に座ると・・・

自分の母親のような歳のオバハンが突如として服を脱ぎはじめる。
驚愕だ。
とんでもない。
わかってもらえるだろうか。

インリンのような艶かしいハズの踊りを踊るが、オバハンの例にもれず、ぶよぶよと太った肉体はシワだらけ、正視できるものではない。
俺は爆笑してしまった。

だが、断っておくが、オバハンの事を笑ったのではない。俺はそこまで不謹慎ではない。 この状況で不謹慎もくそもないが。

俺は、先輩が嘘としか思えない情報、しかも店の名前だけなんていう乏しい情報を頼りに城崎まで来て しかも「無くなったんや」とどこか安心までしてた所に 突如、先輩の言が現実となった、その異次元ぶりがもう笑わずにはいられなかったのだ。

異次元だ。オバハンが、短い太い足を開いて、しかも開いた状態を維持できずにピクピクと小刻みに振動しながら、何やら棒を抜き差ししている。

隣の先輩ももう限界が来ているように見えた。
そこで、休憩になった。

先輩と、「もう出ようか」「もう迎撃しきれません」と相談したが・・・


ふと思い至った。
オバハンも、何も昔からオバハンだったわけではなかろう。
30年前は、ここの看板娘だったかもしれない。
結婚してるのか?子供はいるのか?もしかしたら、家族をこの道一筋で支えてきたのかもしれない。

そして今なお、こうして踊り続けるのだ。

先輩は、ハッとした顔をしていた。俺も頭をガーンと殴られたような気がした。

第2幕が始まって・・・またしてもオバハンが、正直、醜い肢体を晒す。

が・・・しかし、しかし・・・美しい。
オバハンの生き様が美しい。
オバハンの存在が、美しく見えた。俺も先輩も。もうスタンディングオベーションだ。
先輩と俺の二人っきりの客は、精一杯手を振り上げ、あらん限りの声でヒューヒューと囃し立てた。

オバハンの動きが一瞬止まった。こんな客、久しく居なかったのだろう。 オバハンの何かがプッツンしたのがわかる。

舞台の上で踊るどころかビョンビョンとジャンプしはじめ、ヒャッホーと奇声を上げはじめたのだ。
そしてクライマックスへ。バックミュージックは渡辺美里のMyRevolutionだった。

歌うことが何より好きな俺と先輩は肩を組んで大合唱した。
『わかり始めたマーイレボリューション!明日を乱すこーとさー! 誰かに伝えたーいよ、マイtears、マイdreams、いーまーすぐー!』

ここでオバハン、まさかの行動にでる。
突然、自分の○ン毛を抜いてこちらに投げつけながら「マ○毛ー!マ○毛ー!」と合いの手を入れだしたのだ。

合コンのイッキコールなんかの比ではない迫力だ。マ○毛を一身不乱に投げつけてくるオバハンと、大声で歌う。

夢を追いかけるーならー、たやすく泣いちゃだーめさー・・・・・

そうして、忘れられぬ夜が終わった。
二度と行くこともない。

が、わかる。おばちゃんは今もあそこでマイレボリューションしてるのだ。
たやすく泣いたりしないのだ。


赤い看板を見るたびに、誰かに伝えたくなる。

 

 

(追伸: なお「炎」は5年ほど前に潰れたそうです)

絵人間(入れ墨マン)が、異常に銭湯好きなのはなぜか(追記あり)

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近所の銭湯に毎週のように通っている。その銭湯は数年前にリニューアルしたばかりで、とても綺麗でオシャレであり、100度のサウナとちょうど良い冷たさの水風呂と、外気浴できるスペースと椅子もある。受付では安い値段で、冷えた生ビールを飲む事も出来る。住宅街にポツンとあるので、混んでいる事もない。それで、入浴料とサウナ合わせて1000円もいかない。

神だ。神銭湯なのである。でも一つだけ欠点がある。絵人間(入れ墨マン)の入浴を禁止していないので、3回行くと、1回ぐらいの確率で、どでかい入れ墨を背負った絵人間と遭遇するのだ。ファッションタトゥーではなく、冒頭の写真のようなガチのものだ。ワンポイントなどで目くじらは立てない。ここは勘違いしないでほしい。

絵人間の生態について

この前サウナに入った時は、僕を除いて4人の絵人間に囲まれてしまった。これが、オセロなら僕が絵人間になっていたところだ。

絵人間はなぜか単独で銭湯にこない。だいたい仲間と連れ立って来ることが多いので、鉢合わせると囲まれてしまう。

この銭湯にくる絵人間は、若いイケメンが多く肌もツヤツヤしている。筋骨隆々だが、いかにもジムで鍛えた不自然な筋肉という感じがしない。だいたいうるさいが、特にマナーが悪いというわけでもなく、帰り際に、番頭の爺さんに「寒くなってきたから、身体に気をつけてね」と挨拶して帰っているのを見かけた。だからと言って、いい奴だと思ったりはしない。絵人間は絵人間だから気を許してはいけない。

絵人間はなぜこんなに銭湯が好きなのか

だいたいこの銭湯に3回行くと3人ぐらいの絵人間を見かける。1回で20人ぐらい見かけるとすると、だいたい顧客の3%が絵人間ということになる。全国の暴力団員はもはや2万人程度しかおらず、日本国民の割合からすると、0.02%しかいない。もちろん絵人間全員が、暴力団員というわけではないのだろうが、明らかに比率がおかしい。アノマリーである。

めちゃくちゃ乱暴に単純計算すると、絵人間は普通の人の200倍銭湯が好きなのだ。

このエントリーは銭湯から絵人間を排除したいというものではない。ただ絵人間はなぜあんなに銭湯が好きなのか、単純に知りたいだけなのである。

追記

タトゥーOKな銭湯が少ないから集中しているのではというツッコミを多く頂きましたが、実は街の銭湯はタトゥー原則OKなのです。

娯楽施設であるスーパー銭湯日帰り温泉は殆どが禁止です。

全国の銭湯2351軒が加盟する「全国浴場組合」は原則タトゥーOKにしているということです。詳しくは、以下の記事参照

https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/tattoo-bath

こんな意見もありました。これは「通ってる」人の意見ですね。

実際、サウナで毎度のように絵人間に囲まれると、少なくともサウナの中では絵人間である事が社会的であり、ワンポイントとすら入れてない自分がむしろ反社なんじゃないかとすら思う時があります。入れませんけど。

窓を横切る飛行機を数えるバイトについて

(下ネタも含まれるので、苦手な方は戻ってください)

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Sくんとの思い出

学生時代の友人にSくんという人がいた。Sくんは少しエキセントリックなところがあり、関西でいうところの少し濃いキャラだった。早口でオタクだった。

大学の時に、Sくんを含めた仲間で集まって飲み会をした。もう二十歳を過ぎていたと思うが、彼は童貞だった。彼の大学の部活の先輩が見かねて、彼をファッションヘルスに連れて行った。

彼がいうには、なんと彼は30分しか時間がなかったのに、3回射精する事が出来たらしい。

…いくらなんでもそれはない。彼は性欲が強い男で、確かに当時は20そこそこだった。でもさすがにそれは無理だ。僕らはフカシこいてんじゃないと彼を問い詰めた。

本当だと言い張る彼は、証拠として女の子からもらった名刺を提出してきた。それを見た僕らは強く目を瞑って、天を仰いだ。

そこには、

次は4回目ガンバろうね💕❤️

と書いてあったからだ…

なんてこった、、フカシじゃなかった、、

そして、彼はその女の子に運命を感じたらしい。彼はその子が好きになってしまい、またその女の子も自分の事を好きになったと主張してきた。さすがに、僕らもそれは鼻で笑うしかなかった。よくいるヤバイ客だ。彼女たちはビジネスなんだから、勘違いしちゃいけないと僕らは滔々と語った。でも彼は聞かなかった。まぁ犯罪にならないなら、通う分には構わないだろうというところで落ち着いた。

 

ヤバイバイトについて

その後、風の噂で、本当にSくんがその女の子と付き合っているという話を聞いた。信じられなかったが、彼は何しから底知れぬ才能を感じさせる事があった。

そこで彼の家に行って真偽を確かめることにした。

彼の家に行くと、なぜか彼の両腕が赤く腫れ上がっていた。ふと炊飯器の横に目を移すと、黒い革のムチが転がっていた。強く目を瞑った。その件については何も聞きたくはなかった。

彼に話を聞くと、その後すぐに付き合う事になり、もう半年ほど経過したらしい。非常に束縛が激しく今でいうメンヘラだったようだが、幸せに暮らしているという事であった。

ただ彼女には借金があったので、バイトしてその借金を肩代わりしようとしていた。そのため、彼は働きづめで、げっそりと痩せていた。でも、彼がいいならそれでいいのだ。

彼が最近ヤバイバイトをしたという話をした。もちろん違法ではない。

ただ、2畳ほどの部屋に詰め込まれ、会ったこともないオッサンと一緒に、窓を横切る飛行機を数えるバイトだったらしい。

そのオッサンは全くコミュニケーションが成立しないタイプで、それがきつかったとのこと。なおバイト中は、外出は許されず、飯時になるとドアが数センチほど開き、そこからパンと牛乳が投げ込まれるらしい。。

3日ほど缶詰になり、ひたすら飛行機を数えたが、給料はかなり良かったと言っていた。ただ気がおかしくなりそうなので、二度とやりたくないと言っていた。強いバイトばかりしていた彼でも耐えられなかったのだ。

それから20年ほど経つが、未だにその仕事の意味がわからない。空港反対運動をしている団体が、データを取りたかったのではないかという仮説を唱えた者もいたが、真偽はわからない。一体なんだったのだろう。今となっては誰にもわからない。

it's getting better man (会計士試験の思い出)

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今日から元号が変わり、令和になったわけだが、個人的に平成で大きな出来事だった会計士試験について書きたい。

僕は大学2年生の時に、大学にうまく馴染めず、虚無な日々を過ごしていた事が嫌になり、会計士試験の勉強をなんとなく始めた。周りで受けている人が多かったというのも大きな理由で、それほど会計や資格に興味があったわけでもなかった。そこで、最初の2、3年はあまり勉強にも身が入らず、何となく予備校に通って勉強していたものの、箸にも棒にもかからない成績であっという間に2回目の試験が終わった。

その時点で同級生は既に社会に出ており、流石にこれはまずいという事で真剣に勉強し始めた。そもそも最初の2回の時は勉強方法からしてなっちゃいなかった。

成績は急上昇し、3回目の試験の時は、最後の模試では上位10%に入れた。でもまさかの短答式試験という足切り試験で落ちてしまった。 

最後の挑戦

この時は本当に失意のどん底だった。母親から毎日のようにもう諦めて就活しろとせっつかれ、一応、就活情報などもあさってみるが、全然やる気にならない。自分が一回も論文もうけずに撤退するのがどうしても納得できなかった。

家族会議が開かれ、うつむきながら受験を続けたい旨を伝える。
妹(当時某4大商社内定)には「あんたは一生うからないの!才能がないからっ!これ以上親に迷惑をかけるな」と罵られる。
母親には、とにかくもう受験を辞めてほしいと執拗に迫られる。
しかし、黙って聞いていた無口な親父が突然、
「お前は合格したいんやろ!?それがお前の夢なら俺は応援するっ。もう一回だけ、やってみろやっ」と吠えて顔をぐしゃぐしゃにして泣き出してしまった。いつのまにか僕も泣いてしまっていた・・・。

自分が元々言っていた予備校にはしばらくは恥ずかしくて行けず、大学の図書館や他の予備校を転々として勉強していた。家にはもちろんいれなかった。母親は納得がいかなかったようで、毎日のように第二新卒用のリクナビのプリントが置かれてあった。それはどんどん増えていった。現役で地元の国立に合格し、そこそこ順調だった息子の人生がいきなり転落した事に明らかに戸惑っていた。

合格発表後は自分より成績の悪かった人たちが次々と合格した悔しさや、自分のふがいなさから電気を消して眠ることができなくなってしまう。電気を消して眠るとネガティブな考えが次々と浮かんできて眠れなくなってしまうから。

それでも合格するには勉強するしかないので、試験の全範囲を2週間で1回転するようなスケジュールを立て、毎日忘れていない事を確認するなめに予備校に通った。学費は予備校の奨学生みたいな制度に申し込み、毎朝プリントなどを配ったり、予備校運営のお手伝いをする事でタダにしてもらった。

親からは有り難いことに少額の小遣いをもらっていたが、どうしても当時出たばかりのiPodが欲しかったので、昼飯は家から持ってきた白飯にふりかけをかけて食べて、お金を貯めて買った。日中はずっとiPodを聞いて現実逃避していた。

震えるような緊張感の中で短答式試験を受けたが、自己採点は微妙な結果だったものの、疑義問が全て自分に有利な回答結果となり、最終的には突破できた。

論文式試験は3日ある。1日目も2日目も出かける前の朝に、母親から今年落ちたら必ずやめて就職するようにと念を押された。苦手な簿記は散々な出来だったが、そもそも問題が激ムズで、他の科目の手応えは悪くなかった。

最終日は苦手な商法だった。出かけようとすると、母親にまた念を押された。最終日ぐらいは応援してくれよと静かに伝えたら、無言になった。

その時の情景とその場で流れてきた音楽が一体となって、それが強烈なイメージとして記憶に残っていることはないだろうか。

最後に、道を曲がって試験会場の大学が見えてくると、ちょうどiPodのシャッフル機能でoasisのit's getting better man! が流れてきた。

Oasis - It's Getting Better (Man!!) - YouTube

「俺たちの歌っている歌は間違っているかもしれないし、俺たちの夢はすぐ消え去るかもしれない。でも、俺たちは段々と良くなっているんだ」という内容の歌だった。

よく聞いていた曲だ。この曲を聞くたびに、今まで苦しい思いをしてきたけど、俺の人生はここから良くなるんだ!と思いながら勉強をしていた。このタイミングでこの曲がシャッフルで流れてきたのは運命だと思えた。

苦手な商法はミスをしたものの、なんとか試験を無事に終え、合格する事ができた。

It's getting better man!

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今日5月1日から元号は令和になったわけだが、平成は必ずしも良いことばかりではなかった。大きな震災が二度もあり、そのうち一度は神戸にいた僕も巻き込まれ、通っていた中学は全壊した。自由や多様性を追求した結果、社会矛盾が噴出し、未婚化少子化が加速した。グローバル化で格差も広がった結果として、貧しい若者が増えた。この問題は解決の目処が立っていない。

個人的には、仕事も順調で、結婚もでき、子供二人に恵まれたが、後半は骨折したり、家族も病気をしたりで必ずしもいい事ばかりではなかった。

しかし、ジグザグしながらも、世の中は段々と良くなっていると思う。世の中はどんどん便利になり、文化資産へのアクセスは格段に容易になり、デメリットはあるものの、自分の生き方を個人が自分が選択できるようになった。AIの発達により、仕事を奪われるかもという不安はあるものの、これをうまく使えば、生産性が向上し、少子化に対応できるようになる可能性もある。令和は暗い時代になると予想している人も多いが、昭和の時もそんな人はたくさんいた。

昔の人たちは良くないことがあると、図の通り、天皇在位中でも改元をしたらしい。改元には、凶事のリセット機能があり、明日を良くしたいという願いが込められている。

僕は、令和は平成より絶対に良い時代になると確信している。少なくともそう信じないと、そうならないと思っている。僕たちはgetting better manで、やり方次第で、令和をもっと良い時代にできるポテンシャルを持っていると思うのだ。