関電事件の闇は、同和の闇ではなく、原発の闇の中にある

前代未聞の事件だ。

関電 八木会長859万円相当 岩根社長150万円相当を受領 | NHKニュース

関西電力の経営幹部らが、原発立地地域の元助役の森山氏から3億円を超える金品を受領していた問題だ。幹部らは現金や商品券のほか小判型の金貨や金杯アメリカ・ドルなどを受け取っており、常務と元副社長の2人は受領額がそれぞれ1億円を超えていたことが明らかになっている。

令和のこの世に、関電ほどの大企業の役員が 個人から億を超える現金同等物を受け取るなど考えられず、しかも社長は会見で現実に受け取ったことを認めながら、「一時的に預かっただけ」、「返そうと思ったが、返そうとすると森山氏が激昂し恫喝するので返せなかった」などと子供の言い訳のような釈明を繰り返したのも印象的だった。

こんな多額のお金を受け取って、もし外部に露見したらおしまいなのはわかっていただろうに、怒られたぐらいで返却を諦めたなどという釈明をするのは理解に苦しむ。返却できないならできないで会社に事情を話して供託するなどの方法もあるだろう。

こんな有様では、経営陣は全員退任し、組織風土を一新しないとどうにもならないだろうし、こんな組織に原発を預けるのは難しいと思っていたら、いくつかの週刊誌が森山氏は同和関係者ではないかと報じたことにより、少なくともネットの風向きは変わり、急に関電に対する同情や擁護の意見が増えた。

億を超える大金を、大企業のトップ連中が受け取って、「断れなかったから」と釈明するのも前代未聞だが、渡した側が同和関係者だとわかるやいなや、そんな嘘くさい釈明を直ちに信じちゃう人がこんなにいて、しかも彼らは割と著名な人たちだったのが驚きだった。今回のポイントとして、関電マネジメントは払った側ではなく、受け取った側なのである。上のツイートの方たちは、関電という超大企業のトップが、同和を傘に俺の金が受け取れないのかと脅してきたとして、それだけを理由に、理由もなく多額の金を受け取って返金しない、それが現代の大企業のコンプライアンスなのだと本当に思っているのだろうか?

いわゆる同和の闇や同和利権など今では存在していないと言いたいわけではない。それはかって飛鳥会事件やハンナン事件といった形で表に出たこともある。2002年で同和対策関連事業が終了したが、今でも利権として残っている部分はあるだろう。ただ、今回の関電の事件に部落解放同盟同和利権は殆ど関係がない可能性が高い。以下に理由を説明する。

そもそも森山氏は本当に同和関係者なのか?

 実はここがはっきりしていないように思われる。そもそも森山氏が同和関係者であるという確たる証拠はなく、過去に糾弾活動にかかわっていたという証言らしきものがあったり、50年前に所属していたことがあるなどという噂があるだけのようだ。

一応、証拠としてネットに上がっているのは、40年近く前の共産党関係の機関紙の一部である。

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ここには、森山助役(当時)が被差別部落関係者として、糾弾を繰り返していたという記載がされている。周知のとおり、共産党部落解放同盟は、差別との闘い方をめぐって対立し、大昔から非常に仲が悪い。敵の情報ほどよく知っているもので、この記事の信ぴょう性はそれなりにあると思われる。

その記事でも、「『自ら』組織した「部落解放同盟」を指揮してだれから容赦なく糾弾を繰り返してきた」という記載があり、彼の活動は、本家の部落解放同盟を真似して「自主的に」行われたものであると思われ、彼が部落解放同盟に所属していたことを示すfactはないのである。なお、部落解放同盟は、森山氏は自分たちとは無関係というコメントを出している。

飛鳥会事件の首謀者として逮捕された小西氏は、実際に部落解放同盟大阪府連合会飛鳥支部の理事長をつとめ、飛鳥会は、大阪市同和対策事業の一環として大阪市の外郭団体から西中島駐車場の運営を独占的に業務委託をうけていたのだが、この点が森山氏と大きく異なっている。

つまり、街のチンピラなどが言う「俺には、山口組がバックについとんねんぞ!」とヤカラかましているのと同じ状態にすぎないわけで、森山氏が実際に部落解放同盟では何の地位についていたわけでもない。仮に、森山氏が関電の幹部たちを同和とのつながりを仄めかして脅したとして、そんなチンピラな脅しに、関電のマネジメントたちが、この時代にこうも簡単に屈するものだろうか?

(追記:毎日新聞に1969年から1972年まで部落解放同盟の高浜支部の書記長だったという話が出てきました。しかしそれも50年近く前の話で、最近まで同和ネタで関電を脅していたというfactにはなり得ません)

 ただ、森山氏が関電に対して大きな影響力を持っていたことは、報道や社内調査委員会の報告書を見る限り、ほぼfactといってよいようだ。しかし、僕はこの影響力の源泉は、森山氏が同和関係者だからではなく、彼が高浜原発の闇を知っているからだと推測している。

なぜ森山氏は関電に対して強い影響力を行使できたのか?

この問題について、何かを語るならば、関電が公表している当件の調査報告書に目を通すことが重要であると考えている。ジャーナリストを名乗る識者たちですら、こういったfactを含む重要な情報をおそらく確認することなく、いい加減なネットの情報に踊らされてコメントしている事を残念に思う。

https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2019/pdf/1002_1j_01.pdf

 この調査報告書には森山氏の具体的な恫喝が登場する。その恫喝には同和関係の脅しは一切登場しない。彼の恫喝はこのようなものだ。重要なので全文を引用しよう。

発電所運営の妨害を示唆する恫喝として、 「お前とも関電とも関係を断ち切る。発電所を運営できなくしてやる。また高浜3・4号機増設時に関電経営トップと何度も面談し、増設に関して依頼をうけたと話していた。森山氏は、その際、当社の経営トップから受け取ったという手紙やはがき等を保管しており、発電所立地当時の書類は今でも自宅に残っており、これを世間に明らかにしたら、大変なことになる」などといった発言があった

おそらくこの「世間に明かしたら大変なこと」を握っているということが、関電に対して強い影響力を行使できたパワーの源泉になっている可能性がある。

当事件に関連した記事でも以下の記述がある。

関電がパワハラ被害者面する一方で言及を避ける「不都合な真実」

森山氏が助役になってほどない1979年5月、高浜原発の1号機では、緊急炉心冷却装置と連動した補助ポンプの軸が折損していることが判明。これは当時、通産省も「わが国原発開発史上、初めての重大な異常」(読売新聞1979年5月12日)と述べるほど問題視した。その半年後、住民を恐怖に陥れるような深刻な事故も起きている。

放射能含んだ一次冷却水 高浜原発で大量漏れ パイプ破損 9時間で80トン」(読売新聞1979年11月4日)

 当時、アメリカのスリーマイル島の事故もあって、原発の危険性が国際的にも指摘されていた。事故が続く高浜原発にも反対派が集結し、森山氏と関電が二人三脚で進めていた3号機、4号機の安全審査をやめさせようと、公開ヒアリングには全国から反対派市民団体が500人押し寄せたこともあった。

 が、こんな「逆風」の中でも3号機と4号機は稼働した。今の感覚からすれば、あまりにも強引な原発推進に、「誘致や地域の取りまとめ等に深い関わりをもった」(報告書)森山氏が大きく寄与したことは間違いない。

 要は高浜原発の増設時に、森山氏はおそらく恫喝や利益供与などをしながら、地元の取りまとめに大きく貢献し、3号機と4号機の増設を可能にしたのだろう。その見返りとして、森山氏が顧問を名乗っていた吉田開発に対して、入札などで便宜を図り、通常より高額の発注を行っていた可能性が報道により示唆されている。

www.sankei.com

 普通に考えれば、入札で便宜を図ってもらったお礼、もしくは共犯関係であることをしっかり認識させるために関電マネジメントに多額の金を渡していたと考えるのが自然だろう。この事件は同和の闇なんて何も関係ない、ただの原発利権を巡る収賄事件だった可能性が極めて高いということだ。

調査報告書は、社内調査であることが影響して、関電に徹底的に甘く、森山氏がいかに悪魔的な人間であるかが執拗に記載されている。森山氏に対する発注に対しても問題なしとしているが、これだけのkick backがあった以上、発注が適正に行われていたとは常識的に考えにくいだろう。

調査報告書に小林弁護士の所感として記載された文章は、依頼者とはいえあまりにも関電寄りすぎて、著しく公平性を欠いているが、興味深い一説がある。

森山氏が、原発設置に尽力したのは事実であろうが、それも何十年も前の話であることに加え、仮に森山氏に暴露できるような当時の裏事情がありえたとしても、その露見の影響は限定的であろうことは容易に推測できることであった

なぜそんなことが容易に推測できるのかは読者にはわからないが、関電の不可解な森山氏に対する従属について、森山氏が握っている秘密を関電が重要視していたと考えれば、辻褄は合ってしまうのである。

関電の責任は?

森山氏が握っていたであろう原発増設時の秘密が何だったのかは今となってはわからないが、彼が故人となり、その秘密がバラされる可能性がほぼなくなった今になって、関電のマネジメントたちは、一転して強気な態度に出ており、全ての責任を森山氏に押し付け、自分たちは責任を取るつもりはないように見える。辞任すらするつもりがないのは、こんな収賄は大した話ではなく、全て森山氏のせいにすることで逃げ切れると考えており、また多くのネットユーザーやジャーナリストがその筋書きに踊らされているということだ。

仮に森山氏に押し付けられた金だとしても、もっと適切な対処は取れたはずだ。関電マネジメントの被害者ヅラを許すことはできない。第三者委員会の調査も含めて、全て真実を明らかにすることがなければ、この会社が再び原発を扱う資格を持つことは到底ないと思われる。

 

吉本の件の問題の本質は、吉本興業と反社の関係にある

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「元々は宮迫たちが悪い話で吉本が悪者になっているのは違和感を感じる」という人たちが多いのですが、彼らは大事な事を忘れていると思います。

宮迫、田村亮(以下全て敬称略)の会見に端を発した一連の騒動により、吉本批判の機運高まり、松本人志が動いたと思えば、翌日には、加藤がスッキリで怒りの名演説を行い、その夕方には岡本社長が世紀のグダグダ会見を行うという目まぐるしい展開の中で、何が本質なのかわかりにくくなっています。

この件について、最も大事な事は、「吉本という会社と反社との関係」であって、あの記者会見で重要だったのは、「吉本主催ではないが、他のイベント会社のイベントを通じて、吉本も反社からお金を受け取っている」ことと、「件の闇営業の現場には、吉本の社員もいた」の二つの告発だけなのです。

吉本も反社からお金を受け取っている?

これは宮迫が記者会見で言っていたことですが、最初に聞いた時はそんなはずがないと思いました。もしそれが事実なら一介のお笑い芸人に過ぎない宮迫たちがお金を受け取るのと、吉本が企業として反社からお金を受け取るのでは、コンプライアンスに関してより重い責任を負う後者の方が明らかに罪は重いはずだからです。まさかそんなはずはなく、宮迫の苦し紛れの言い逃れだと思っていました。しかし、どうもそうではなさそうです。

吉本主催ではなく他のイベント会社主催とはいえ、協賛にバッチリ例の反社の名前があり、イベント会社を経由して、吉本も金を受け取っています。

宮迫たちが反社からお金を受け取ったのは悪い事かもしれません。嘘をついたのも悪い事です。しかし、吉本が、他のイベント会社経由とはいえ、反社からお金を受け取るのはなぜ許されるのでしょうか。むしろ入江の言う「吉本も間接的にとはいえ、お金を受け取っている会社だから大丈夫」という言い分は説得力があり、宮迫たちが大丈夫だと思ってしまったのは仕方がないようにも思われます。

ここは当件の最大の重要ポイントだと思いますが、なぜマスコミはこの点を全く追及しないのでしょうか。これでは田村亮が示唆した通り、吉本とマスコミはグルだと思われても仕方ありません。

闇営業の現場に吉本の社員もいた?

宮迫が言うように、闇営業の現場に吉本の社員がいたとしたら、この闇営業を吉本は知っていたということになると思います。これは重大な事実なので、もし事実と異なるならば、吉本は即座に反論すべきですが、何か有効な反論はあったのでしょうか。これもマスコミ各社はほぼスルーしている状況です。

芸人と顧客が吉本を通さず直で営業するから闇営業と呼ばれるのであって、吉本が知っているならそれは闇なのかという疑問が生じます。

ここで一つの疑惑として浮かび上がるのは、「元々、吉本がコンプライアンス上、受けられない反社の営業のうち、過去のしがらみから断りにくいものについては、入江に受けさせて吉本の芸人を派遣していた。そのため吉本は当然この営業の事も知っており、トラブル防止のため社員も同席させていたが、この件が露見するや否や、即座に入江をトカゲの尻尾切りした」というものです。

もちろん証拠は何もありませんが、吉本の社員が現場にいた事、宮迫たちが引退をかけてまで記者会見をあれほどやりたがった事、吉本は割と優秀な稼ぎ手である宮迫や田村亮を辞めさせてまで記者会見を阻止したかった事などが、上記の説明で、一旦繋がってはしまいます。宮迫は退社を選んでまで、「吉本社員が現場にいた」というメッセージを視聴者に残したわけです。ここまでマスコミがこのメッセージを無視するとは予想できなかったかもしれませんが。

吉本には、これらの疑惑を否定するためにも、是非「吉本社員は現場にいたのか?いたとしたらそれはなぜ?」という点について、説明を頂きたいと思います。

松本人志加藤浩次の動向について

大崎会長に恩がある松本は、体制を守るべく動いているし、今回の件は大崎岡本体制にあると確信する加藤浩次は自分の進退をかけて、大崎と岡本に退陣を迫りました。

僕は加藤浩次の演説にはグッときましたし、正直、感動しました。自分が正しいと思った事のために、損得を無視して、またその決断に対して家族の理解を得て、手持ちのチップをフルで自分の正義に張れるのは男の憧れです。松本の優しい気持ちもよくわかります。しかし両者の行動はベクトルこそ違えど、今回の問題の本質を見失わせる行動になっています。

本質はあくまでも、「吉本と反社との関係は切れていないのでは?それが露見しそうになるや否や、入江や宮迫たちを排除して自分たちを守ろうとしたのでは?」という点にあり、彼らの行動は、残念ながら、実はこの本質を見えにくくしています。この点については、吉本とマスコミの馴れ合い体質により、これからも追及はなされず、なぁなぁになるのだろうと諦めています。

ライブドアニュース on Twitter: "【全文】吉本興業、宮迫博之めぐる報道についてコメント発表 https://t.co/YCcO19xkbZ 金塊強奪事件の主犯格とされる男の会合に同席し、金銭を受け取ったと『フライデー』で報じられたことについて、声明を発表した。… "

また、吉本は今週発売のフライデーの記事を受けてコメントを出しました。コメントは支離滅裂な内容で、フライデーの記事に困惑して宮迫を信じていいのかわからないと言いながら、次の行では疑うことなく信じていると記載しており、意味不明です。分かる事は、宮迫に対する意趣返しで、単なる嫌がらせのコメントだろうなということです。自社のタレントの発言と、何の裏付け証拠もない反社の戯言を比較して、何を信じていいのかわからないというなら、たとえ宮迫が最初に嘘をついたという経緯があったとしても、もはや吉本にタレントをマネジメントする資格はないと思います。

報道されないジャニー喜多川の未成年に対する性的虐待疑惑について

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ジャニー喜多川がなくなったが、昭和平成のゲイ能の大功労者である超大物が亡くなった!というトーンで彼の泣けるエピソードやジャニタレ達の追悼の言葉や涙を流して、美談に仕立て上げている。このツイートなどはこの雰囲気をよく捉えているので参考に引用したい。

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亡くなった人を叩く趣味はないが、彼の功罪のうち、余りにも罪を取り上げなさすぎる報道姿勢に疑問を感じる。これは今に始まった事ではない。彼の未成年に対する性的虐待の疑惑は一部のメディアを除いてほとんど報道されてこなかった。その姿勢が功を奏して、今ではジャニー喜多川性的虐待疑惑を知らない人もいる。殆どの情報はwikipediaにのっているが、勝ち逃げを許さないという思いから、この疑惑について改めて整理をしたい。

文春との裁判について

彼の性的虐待疑惑については、殆ど報道されていなかったと書いたが、1990年代までは、公然の秘密として、ジャニーズでは未成年に対する男色の強要が行われているという噂は根強くあり、当時田舎の高校生であった僕も何となく知っていた。真偽不明だが、15歳になると、ジャニー喜多川プレゼンツの割礼の儀式を受けなければならないという噂を聞いた記憶がある。

1990年代後半には、文春がジャニーズ事務所を批判するキャンペーンを繰り広げ、ジャニー喜多川の同性愛強要や、メンバーの喫煙を取り上げた。

ジャニーズ事務所は、これに対して、記事が名誉毀損であるとして、文春に対し1億円あまりの損害賠償を要求する民事訴訟を起こした。ここからwikiを引用する。

2002年(平成14年)3月27日の一審判決では東京地裁は文春側に880万円の損害賠償を命じた。文春側はこれを不服として東京高裁に控訴した。2003年(平成15年)7月15日の二審判決では、ジャニー側の所属タレントへの同性愛行為を認定した(矢崎秀一裁判長)。このため、同性愛部分の勝訴は取り消され、損害賠償額は120万円に減額された。ジャニー側は損害賠償額を不服として最高裁に上告したが、2004年(平成16年)2月24日に棄却され(藤田宙靖裁判長)、120万円の損害賠償と同性愛行為の認定が確定した。

なんと裁判所は所属タレントへの同性愛強要部分の文春の記述は、根拠があると認めてしまったようなのである。しかも最高裁判所で控訴が棄却され、認定が確定してしまった(この判例の現物は見つけられなかった)。

少なくとも文春がいい加減に書いた飛ばし記事ではなく、それなりに取材をして、また同性愛強要疑惑が真実に足るという文春の判断は妥当であると裁判所は認めてしまったようなのである。

国会質問について

ジャニー喜多川の未成年への性的虐待はなんと2000年に国会で取り上げられ、問題視された事もある。

衆議院会議録情報 第147回国会 青少年問題に関する特別委員会 第5号

少し長いが、坂上議員(当時)の質問文を引用したい。

次に最も深刻な問題であるジャニー喜多川社長のセクハラ疑惑についてお聞きしたいと思います。
報道によれば、ジャニー喜多川社長は、少年たちを自宅やコンサート先のホテルに招いて、いかがわしい行為を繰り返しておるという内容のものであります。なぜ少年たちがこんな行為に耐え忍んでいるかといえば、ジャニー喜多川社長に逆らうと、テレビやコンサートで目立たない場所に立たされたり、デビューに差し支えるからというのであります。
 私は独自の調査で、ジャニーズ事務所に所属していたことのある少年の母親の手紙を手に入れました。少し長くなりますが、御紹介をさせていただきます。
うちの現在高校二年生の息子も、中三の冬にオーディションに合格し、約一年間ジャニーズジュニアをしていましたが、事務所からのコンタクトがなくなり、自然にやめたような形になりました。ずっと後になって息子から聞いたのは、オーディションに受かってから初めてレッスンに行ったとき、先輩のジュニアから、もしジャニー喜多川さんから、ユー、今夜はホテルに泊まりなさいと言われたとき、多分ホモされるかもしれないけれども、それを断ったら次から呼ばれなくなるから我慢しろと教えられたそうであります。息子はジャニーさんの好みでなかったらしく一度も誘われなかったので、清い体でやめることができましたが、何人かはこの行為を受け、お金をもらっていたそうであります。今テレビでにこにこして踊っているジュニアたちは、陰ではそんなつらい思いをしておるかと思うとかわいそうです。
 こういう内容であります。こういうことが事務所でまかり通っているわけであります。
ジャニー喜多川氏は、親や親権者にかわって児童を預かる立場であります。児童から信頼を受け、児童に対して一定の権力を持っている人物が、その児童に対して性的な行為を強要する。もしこれが事実とすれば、これは児童虐待に当たるのではありませんか。

「多分ホモされるかもしれないけど」というフレーズが印象に残る。

国会でこんな話が出るぐらいだから、2000年当時は、こんな話をたくさん聞いたものだ。しかし、ある時から報道がされなくなった。同性愛強要部分は事実認定されたものの、文春がジャニーズ事務所に敗訴してしまったのは、一つのきっかけだっただろう。

2000年代中頃ぐらいからだろうか。沢山の人気グループを抱えるジャニーズに逆らえば、関連メディアにジャニーズを出してもらえなくなるという懸念から、性的虐待疑惑に限らず、ジャニーズに都合の悪い報道は殆どなされなくなってしまったように思う。

暴露本について

ジャニーズ事務所の卒業生のうち6人ほどが、退社後に暴露本を出し、その全てで性的虐待を受けた事を暴露している。

特に生々しいのは、ジャニー喜多川性的虐待に2年間耐えたという木山氏による暴露本だろう。今は入手困難なようだが、股間を太ももに押し付け果てた話や、ジャニーとのセックスの話が克明に記載されている。しかし、彼はホルモン注射を打たれるのが嫌で、結局は事務所を辞めてしまう。

昼は食事を与えられ、夜は精を吸われる――ジャニーさんとの“蜜月”と“恥辱”の日々 (2018年9月12日) - エキサイトニュース

もちろんこれが本当の話であるかどうかは不明だが、他の暴露本の内容と照らしてみると、一定の真実は含まれているように見受けられる。実際のところ、被害はどこまで及んでいたのだろう。本によると、デビューしたグループのメンバー、光GENJISMAPTOKIOもみんな耐えていたとの事だが真偽は今となってはよくわからない。

マスコミはこれらの疑惑を報じなくなった。ファンも薄々これらの話を知りながら、見て見ぬフリをして、アイドルを応援し続け、その結果どんどんジャニー喜多川は肥え太り、被害は拡大する中で、結局は罰を受けないまま天寿を全うした。

芸能界はそういう場所で、どうしようもなかったのだろうか。デビューでき、活躍できた人はまだいいが、地獄に耐えながらも花を咲かせられなかった男たちを思うと、ジャニー喜多川を性人ではなく、聖人として崇める現在の報道の風潮は残念でならない。彼らがきちんと報道していれば、被害者は減ったのかもしれないのだから。

(追記)

ブログの記事の中で、鮎川太陽氏のツイートを貼って、彼が過去にジャニー喜多川から性的虐待を受けた事を、ツイートで仄めかしている可能性があるとの推測を記載していましたが、本人から、インスタグラムにて、そういう趣旨ではないと否定したと解釈できるコメントがあったので、その部分は削除します。

 

幸福の形は人それぞれ

今週に中学時代の友達と会う機会があった。彼はマイペースな人間だから、さっそく自ら指定した時間を20分遅れてきた。仕事場から電車を使わず、歩いてきたら遅れたらしい。

僕は時間には厳しく、人に会うときに、まず遅刻はしないし、もし身内が遅刻をしたら激しく怒る。でも、彼は元来とてもマイペースな体質で、それを知ってて付き合っているのだから、そんな事は全く気にならない。一年に数回会うか会わないかの人間のスタイルに口を出す事もない。

彼は離婚して嫁さんが出て行ったために今は一人で暮らしている。子供とは月一では会えているらしい。離婚の際のあれやこれやは、一方からしか話を聞いていないのだが、起きたであろう事実だけを拾ってみても酷い話で、僕も会ったことのある彼の元嫁さんへの怒りを禁じ得ない内容だった。そして彼に対しても深く同情していた。

でも彼は飄々としていた。今が一番自由でいいと。女性にもモテるので、気楽に遊んでいるらしい。40前男で金がそこそこあって魅力のある男はあまり供給もないだろうから、モテるのだろう。結婚していた時は昼食代も込みでお小遣い3万しかなかったらしい。僕はそれほどお金を派手に使うタイプではないが、考えられない額だ。彼は当時は嫁さんに支配されていたと言っていた。今はお金も時間も自由に使えてそれが幸せだと。

彼は強がりで言っているわけではないように見えた。あれやこれやで揉めていた時は、今より太っており、顔にも生気がなかったが、今はすっかり痩せ、精悍な顔つきになっていた。

彼にとっては望んだ形ではなかったかもしれないが、離婚して、自由に暮らし、月一で子供に会う生活が、結果として一番幸福なライフスタイルなのだろう。彼はとてもマイペースだから、元嫁さんにも苦労はあったのかもしれない。

独身であったり、子無しであったり、既婚子持ちであったり、周りから見た本人のステータスは色々ある。結婚をして子供を産み、同じ家で家族仲良く暮らすのが幸福への唯一のルートのように感じる事もあるが、何が幸せなのかは人によって違うし、本人にしかわからない事もある。結局はそれが世間の求める形と違ったとしても、自分のやりたいライフスタイルを見つけて、それを実現するのが、幸福のための大事な要素なのだろうと思う。

おっぱいパブで背後から殺気を感じた話

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これは僕ではなく、僕の友人のTさんが夏に地元大阪に帰省して、友人たちとおっぱいパブに行った時の話です。

彼によると、おっぱいパブは大体3人ぐらいの女の子が交代で付くことが多いそうです。一人目に付いた女の子は、まぁまぁおっぱいも大きく可愛かったので、楽しんだそうですが、二人目に付いた女の子がまずかった!

髪は金髪で顔はガリガリでがいこつのよう、おっぱいも全然なく、全く触る気もしない女の子だったそうなのです。

しかし、そこは紳士のTさん、あからさまに興味のない態度を取って女の子を傷つけたくないと思ったのでしょう、こう言いました。

「僕は今日友達の付き合いで、ここに来たんだけど、こういう店は来たことなくて戸惑ってるんだよね。付き合ってる彼女にも悪いから、申し訳ないんだけど、お触りなしで、今日はお話しだけさせてもらっていいかな?」とにこやかに話したそうです。

がいこつさんは、とてもいい子で嫌な顔をしないどころか、「マジで素敵〜」とか「こういう誠実な彼氏欲しい〜」とアゲてくれたので、彼も嘘話とはいえ、満更悪い気もしなかったそうなのです。

女の子が交代して、3人目の女の子が来たのですが、これがまさに彼の好みのど真ん中ストライクでした。ハーフっぽい顔立ちで、肉付きも良く、パイオツカイデーの女の子で、彼の心の中のアンパイアが、高らかに試合再開を告げました。

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彼は夢中になって、亀仙人のようにおっぱいに顔を挟んで、フォオオーと声を上げて楽しんでいると、ふと背後から後頭部に殺気を感じました。

彼はお金を払って楽しみに来ているだけなのに、殺気を向けられるような謂れはありません。女の子の嫌がるような事はせず、店のルールをきちんと守って楽しんでいます。

不審に思って振り返ると、先ほどのがいこつさんが引きつった顔でこちらを見ていました。。

しかしここで引くとかえって傷口が大きくなると瞬時に判断した彼は、全てを忘却し、また亀仙人になる事にしたのです、、

すまぬすまぬと心の中で泣きながら…

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The Beatles 「ノルウェーの森」は誤訳?

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僕は昔から、ビートルズが大好きで、中学生の時から、何百回と彼らの12枚のアルバムを聴いているものの、悲しいかな英語が聞き取れないので、歌詞の意味はよくわかっていないことが多い。Rubber soulというアルバムに入っている「Norwegian Wood」もその一つだ。

www.youtube.com

ジョンの渋い声と、ジョージハリソンが当時傾倒し始めたインド音楽の影響で導入されたシタールの音がうまくあっていて、ビートルズの中でも特に好きな曲だが、このノルウェーの森が何を指すのかよくわからなかった。

僕の手元にあるビートルズ全詩集(ソニーミュージック)の訳だとこんな感じだ。記憶ベースだが、国内版についていた歌詞もこんな感じだったと思う

I once had a girl, あるとき、女を引っかけた
or should I say she once had me? それとも、こっちが引っかけられたのか
She showed me her room, 彼女は僕を部屋に通してくれた
isn't it good, Norwegian wood? いいじゃないか、ノルウェーの森
She asked me to stay and she told me to sit anywhere, 泊まっていってと彼女は言い、好きなところに座るように僕を促した
So I looked around and I noticed there wasn't a chair. そこで、僕は部屋を見回し、椅子が一つもないのに気づいた
I sat on a rug, だから敷物に腰を下ろした


biding my time, drinking her wine. ワインを飲みながら時間をつぶすうち
We talked until two すっかり話しこんで、夜の2時になった
and then she said "It's time for bed". すると彼女 ”もう寝なくちゃ”
She told me she worked in the morning and started to laugh. ”明日は朝から仕事なのよ” 彼女はおかしそうに笑った
I told her I didn't and crawled off to sleep in the bath. ”こっちは暇だ”と僕は言ってみても始まらず、僕は仕方なくバスタブで寝ることにしたんだ


And when I awoke I was alone, 翌朝、目を覚ますと僕は一人
this bird had flown. 小鳥は飛んで行ってしまっていた
So I lit a fire, 僕は暖炉に火を入れだ
isn't it good, Norwegian wood? いいじゃないか?ノルウェーの森

誰にでも経験のあるようなうまくいかなかった苦い思い出の話だが、ノルウェーの森が何を指すのかがよくわからない。なんで突然森が出てくるのか。ノルウェーの森の何がいいのだろうか?

この頃からジョンはドラッグにハマっていくようになり、何らかの隠語であり、特に深い意味はないのだろうと思っていた。good とwoodで韻を踏みたいだけの話なのかなとも思っていた。

でも、最近になって、このノルウェーの森が、実はノルウェー産の家具を指しており、isn't it goodと最初に言うのは、男性ではなく女性の方で、最後に火をつけるのは暖炉やタバコではないという解釈があると知った。改めて修正した翻訳を貼ってみよう。

I once had a girl, あるとき、女を引っかけた
or should I say she once had me? それとも、こっちが引っかけられたのか
She showed me her room, 彼女は僕を部屋に通してくれた
isn't it good, Norwegian wood? 素敵でしょ、ノルウェー産の家具なの。
She asked me to stay and she told me to sit anywhere, 泊まっていってと彼女は言い、好きなところに座るように僕を促した
(上記と同一のため中略)

And when I awoke I was alone, 翌朝、目を覚ますと僕は一人
this bird had flown. 小鳥は飛んで行ってしまっていた
So I lit a fire, だから、僕は家具に火をつけたんだ
isn't it good, Norwegian wood? よく燃えるじゃないか?ノルウェー産の家具は。

 

赤字の箇所が翻訳を変更した箇所である。これだけで、男が行きずりの女の部屋に招き入れられたものの、結局やり損ねて、お風呂で寝る羽目になってしまったので、腹いせに彼女が自慢していたノルウェー産の家具に火をつけて、その燃えっぷりを見ながら、彼女が言ったように「isn't it good?」とつぶやくというストーリーがはっきり見えてくる。もちろんタバコや暖炉に火をつけたという解釈もあるが、それであ」ば、なぜ最後に「isn't it good?Norwegian wood」と言ったのか意味が繋がらない。

この解釈を知った今となっては、Norwegian woodをノルウェーの森であると訳した最初の和訳は誤訳にしか見えないように思えてくる。国内版では今でもノルウェーの森として記載されている。なぜプロがこのような誤訳をしたのだろう。

しかし、これはおそらく誤訳ではなく、ノルウェー産の家具だと訳してしまうと、やれなかった腹いせに女の家に火をつけるようなサイコパスの話であると一目瞭然にわかってしまうので、当時、訳をつけた人が苦肉の策で、苦し紛れにノルウェーの森という詩的な単語を当てて、本当のストーリーから目をそらさせたのではないかと思っている。

当時はストーンズの「Let's spend the night together」という曲が、タイトルだけでセックスを連想させて過激だとラジオで流してもらえないような時代であり、実はこんなアレな歌詞であるとバレてしまったら、ラジオで流してもらえなくなると思ったのかもしれない。当時のマーケットでラジオに流してもらえないのは、プロモーション的に致命傷になり得る(映画ボヘミアンラプソディーにも、曲が長すぎてラジオでかけてもらえない事を心配するレコード会社の社長が出てきたと思う)。

しかし、そういった苦心の訳が、有名な小説のタイトルになり、映画化までされたのは面白いなぁと思う。当時苦労したであろうレコード会社(東芝EMI)の担当者も報われた思いがしたんじゃなかろうか。

 

 

AIの発展により会計士の仕事はなくなるのか?

僕は今、大手監査法人で働いていて、比較的規模の大きな一部上場企業の主査(現場の責任者)を担当している。去年はリクルートも担当していた。監査現場や受験生と話しをする中で、最近よく聞くようになったのが、AIが発達したら公認会計士の仕事はなくなるというものだ。

ここで会計士の仕事と言われているものはおそらく会計監査のことだろう。

 

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記事によると、2014年に公表されたAI(人工知能)が既存の職業をどのように変えるかを論じたイギリス・オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授の論文の中で、94%の確率で10年後になくなるとされた専門職の1つが会計監査」の仕事だった。おそらくこの論文が広まり、何となく懸念が広まっているのが真相だろう。

AIの進展は明らかにディープラーニングが確立してから盛り上がりを見せており、この論文もおそらくディープラーニングにより、AIが順調に発展していけば、監査は人間の手を借りずともできるようになるという発想なのだろう。しかし、この准教授は会計監査がどのような仕事か知っているのだろうか。また、会計士の側でもAIがどのようにブレイクスルーしたのかわからないため、94%の確率という数値が独り歩きしているように思う。そこで、監査のことはある程度わかっている僕がディープラーニングについてさらっと勉強をしてみた。

結果として、AIの進展により少なくともここ10年間という単位で、会計士の仕事(会計監査)がなくなることはまずなさそうだと思った。

ディープラーニングとは何か?

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人工知能の開発は1950年代から始まっているが、順風満帆だったわけではない。「人工知能は人間を超えるか (松尾豊著)」を参照すると(この本は超おすすめ)、第一次AIブームでは、AIはチェスや将棋といった限定的な状況であれば問題が解けるが、現実に発生する問題を解くのは難しいという限界にあたり、すたれていった。第二次AIブームは、どんどん知識をコンピューターに蓄えることで、人に近づけるという可能性が見え、盛り上がりを見せたが、人間が持つ知識をすべて記述するのは難しい(人間の持っている知識を言語化してコンピューターに打ち込むPJが何十年も前から継続されているが、いまだに終わっていない。それほど人間の持つ知識は膨大である)という限界にぶちあたり、これも収束してしまった。

今第三次AIブームが起きているが、これは上述したディープラーニングによるものだ。ディープラーニングは、2012年世界的な画像認識コンペティションで、カナダのトロント大学が作成したソフトが圧倒的な大勝利をおさめたことによって広まった。このソフトはディープラーニングの技術が使用されていたからだ。

ディープラーニングの特徴を一言で述べるとすれば、「特徴表現をコンピューター自らが獲得する」という点にある。

これを素人のあやふやな知識で説明しよう。

例えば、東京に住んでいる非モテの男性が合コンやデートを繰り返す中で、女性に全く相手にされず「こんなにブスが偉そうにしているのは東京だけ」という仮説を持ったとしよう。僕は全くそのような仮説を支持しないが、これはあくまでもわかりやすいたとえ話として聞いてほしい。

非モテの男性は膨大な女性へのアタックという試行回数でその仮説を得たのであるが、この仮説をコンピューターは自ら得ることができない。さらに、仮説の証明についても、データの分析方法まですべて人間が指示しなければ、これを証明することはできない。

しかし、ディープラーニングの場合は、日本全国の女性のビッグデータを読み込ませる中で、人間が何をしなくても勝手に、データの特徴を読み取って「こんなにブスが偉そうにしているのは東京だけ」という特徴(がもしあれば)を読みとってしまい、その証明データを集めてしまう。 さらにその特徴にあわないような異常データまで検出してしまう。ある特徴を読み取った上で、その特徴に当てはまらないデータを検出するのは、ディープラーニングの得意とするところだ。

ディープラーニングが進めば、婚活のマッチングなどはかなり精度の高いものができるに違いない

ディープラーニングを会計監査でどのように使えるのか?

会計監査では、異常データの発見のために、今まで人間が分析的実証手続やサンプルテストを実施してきた。これらは証票を集め、人間の目で一件一件チェックするため時間がかかっていた。ディープラーニングに、ビッグデータを読み込ませれば、異常データを発見してくれるため、今まで監査でやっていたこれらの作業を実施しなくてもよくなる可能性はある。

しかし、会計監査でいう分析やサンプルテストによる検証は、釣りでいうところの釣り糸を垂らす行為であり、本当に大変なのはヒットした後、つまり異常サンプルを発見した後だ。

この異常サンプルが、どういった原因で発生したのか、それは会計上の虚偽表示に繋がるのが、もし虚偽表示である場合には、あるべき会計処理は何か、またこの異常サンプルが虚偽の表示や不正である場合に、これが発生した原因と同じ理由で他に同じような事象が発生していないかといった検討が必要になる。

はっきり言ってしまえは、分析やサンプルテストはスタッフがやっている仕事であり、それらで発見した異常の原因を調査してオチをつけて軟着陸させるのはシニアスタッフやマネジャー以上の仕事だ。ここが一番難しいのである。

つまりAIの仕事は、どちらかといえば単純作業に分類されるようなスタッフの仕事を代替するに過ぎず、監査の一番大変なところをやってくれるわけではない。ただ、実際のところ、サンプルテストで確認できているサンプルは全体の5〜10%程度であるから、これをAIが全量チェックできるようになった場合には、監査の質はかなり上がる可能性がある。

しかし、今まで見つからないから何もしなくても良かった異常サンプルを見つけてしまうため、おそらくそれに対処する人間の作業量はかえって増えてしまい、さらに人不足になる可能性すらあると思う。とはいえ、求められる人間は、原因を考え問題解決できる人間に限定される。

さらに格差が加速する恐れ

会計士の中でも、単純作業がなくなり、異常サンプルに対して、対処できる問題解決能力のある人間が重宝されるが、逆にこの能力のない人間はAIに駆逐されてしまう。

これはおそらく会計士だけでなく、全ての業界において似たような事が起きると直感する。なお、AIが問題解決能力を持つには、おそらくAIに問題を解決したいという意思を持たせる必要があるため、ここに到達するにはまだ、4つも5つもブレイクスルーする必要があり、少なくともこれを数十年単位で出来るようになるとは考えられない。現在のAIは「世界の特徴量を見つけ特徴表現を学習する」事しか出来ないのだから。

AIが人間を支配すると言った言説は、おそらくAIをよくわかっていない人の夢物語だが、AIをうまく使える人と代替されてしまう人の間で格差が広がるのは避けられない。負けたくなければ、結局は問題解決能力を磨く以外の方法はなさそうだ。