30代の大腿骨頸部骨折日記

実際にけがをした人からリクエストがあり、閉鎖したブログのうち、大腿骨頸部骨折に関する記事だけ復活させます

インターネットの適当な人生相談が、ある少年の人生を変えたかもしれない話

2014年か15年の頃だった。僕はその時、コンサル会社に出向していて、毎日深夜まで働いていて、殆どタクシー帰りだった。

よく覚えているのだが、確かその日も1時半ぐらいに帰宅して、ask.fmという質問回答サイトを見ていた。そうすると深夜にもかかわらず一人の中学生から質問が届いた。こんな内容だった。

中学2年生不登校の者です。僕はハーフなんですがそれが原因でいじめられていました。 田舎で日本語もあまりうまくないので余計いじめられます。 | ask.fm/M_znuask.fm

(この前にもやりとりがあったはずだが見つけられなかった)

自分は中学生だが、ハーフで日本語が上手くないからいじめられていて不登校になったという内容だった。なんで中学生がこんな深夜にオッサンのaskに質問をと思ったが、たまたま見かけて、藁にもすがる思いだったのだろう。何かいい言葉をと必死で考えた。

まず、貴方は今が人生の底だから、これから人生は絶対に良くなると断言した。学校は無理していかなくてよいから、とにかく勉強してそこから抜け出して、都会の高校に進学しろという回答をした。

日本語が得意でないと言うから、学校に行かない代わりに、ボランティアか何かで他人との接触は欠かさないようにし、漫画をたくさん読めというアドバイスもした。

僕自身はいじめられた記憶はないが、中学校にポジティブなイメージがなく、いじめられてまで行くようなところでは全くないと思っていた。この後もやりとりがあり、勉強して慶応に入れ、ハーフで慶応ならモテるからと言った。とにかく人生に希望を持って欲しかった。

彼は、ハーフは今の環境ではネガティブな要素でしかないが、貴方がそれを認めてくれて嬉しい、勉強を頑張ってここから抜け出すと言っていた。

それから、たまにあの中学生の男の子はどうなったろうと思い出すことはあったが、連絡の取りようもなく、彼の人生が好転していると良いなと思っていた。 

4年後

質問の4年後にaskに連絡があった。あの時の中学生が高校3年生になって、連絡をくれた。

中学生の時に不登校で質問した者ですが覚えていますか?当時の質問がどうやっても見つからないのですが最後にMさんにaskしたのは4年ほど前だったと思います。ツイッターも見つからなかったのですがやっとこのページを見つけることができました。 結局教室に戻れなかったのですが保健室登校という形ながら中学生活を送りました。高校は絶対に違う環境に行きたいと思って帰国生徒の入試がある首都圏の私立高校を目指しました。英国数の勉強、ボランティア(とても大変)、遠くの塾まで通ったりと色々しました。必死にやって親からもたくさんサポートしてもらって結果無事合格できました。僕にとっては最悪の地元から脱出することができました | ask.fm/M_znuask.fm

入学してからはこんなに違う世界があるんだと思うくらい環境が変わって楽しい学生生活を送ってます。いじめはどこにもなかったです。 今高3で大学は指定校で決まりました。おすすめされた慶応ではないですが同じグループの大学に入学します。 親にたくさん色んな負担をしてもらったので大学でもがんばっていきたいなと思っています。質問した時より身長もだいぶ伸びて下手だった日本語もマシになりました。言われた通り今も漫画たくさん読んでますよ。苦しんでいた時にMさんが今が底なだけでこれからの人生どんどん良くなるとおっしゃってくれたことに感謝しています。行動を起こすきっかけになりました。かなり前のことなので覚えているか不 | ask.fm/M_znuask.fm

本当に驚いた。彼は、顔も知らない見ず知らずのオッサンがネット経由で適当に垂れたアドバイスを全て実行して人生を変えていたのだ。

アドバイスはする方は簡単だが、受け止めて実行するのは難しい。驚いたことに、実行がかなり難しいものもあったのに、彼は僕が言った事ほぼ全てを実行したのだ。回答にも書いたが、彼の人生を良い方向に変えたのは彼の力だが、自分の深夜の思いつきが、彼の人生を好転させる何かのきっかけになったのであれば嬉しいと思った。

行動を変えれば人生は変わる(事もある)

「貴方の人生は今が底で、これからはどんどん良くなる」というアドバイスについては、そうとしか思えなかったが、特に合理的な根拠があったわけでもない。

でも、その言葉に含まれた希望が彼を動かすきっかけになった。前のエントリーにも書いたが、人の人生に良い影響を与えるのは、いつだってポジティブな言葉なんだろうと思う。 

popaikenzo.hatenadiary.jp

大前研一の有名な言葉に、「人間が変わる方法は3つしかない。1つ目は時間配分を変えること。2つ目は住む場所を変えること。3つ目は付き合う人を変えること。」というものがある。彼はこれを全てやったから人生が変わったのだが、まずは1つ目の時間配分を変えたことで、2つ目と3つ目を変えるチャンスを得た。

いつまでたっても自分の人生が好転せず愚痴ばかり言っている人に共通するのは、人の話を聞かないことと、行動パターンを変えないことだ。

彼からは行動パターンを変えれば人生が変わる事もあるという事を教えてもらった。質問をしたのは彼だが、教えてもらったのは僕だった