30代の大腿骨頸部骨折記録12〜一か八か〜

M「ズ、ズレたんですか。本当だ。。全然痛くなかったのに、こんな分厚いプレートで固定しているのに、ズレてしまった、、」

O医師「わずかながら、骨頭が右回りに回転してきたように見えます。。でも痛みはないんですよね?」

M「はい、全く痛みはありませんが、、

せ、先生、私はこうなる事も覚悟して、荷重を選択しました。4ヶ月も免荷したんです。本当に大変だった。荷重をかけた決定に後悔はありません。。」

これは本音でした。いつ荷重できるかわからず鬱屈とした思いで日々を過ごすなら、たとえダメでも早くわかった方がいいと思いました。

O医師「…考え方を変えてみましょう。要は痛みがなくて歩ければいいわけですよね?

確かにズレてしまったのは残念ですが、このままの状態でも痛みが出ずに歩けるなら、それは一つの解決にはなります。骨頭の形態を見ても、ここでズレは止まるようにも思える。多分止まるんじゃないかな。」

先生の仰る趣旨を図りかねて、黙って聞いていた。

O医師「今日から松葉杖を取って全荷重で歩いてみましょう。一か八かにはなりますが、その上で、ズレがここで止まれば貴方の勝ちです。」

あれほど待ち望んだ全荷重がこんな形で、、全く予想もしない提案でした。また免荷に戻るものと思っていたからです。

基本的には、頸部骨折のリハビリパスは、1/3荷重→1/2荷重、2/3荷重をそれぞれ2週間ずつこなして、少しずつ荷重をかけていくのがセオリーです。免荷4ヶ月も異例ですが、1/3荷重からいきなり全荷重も前代未聞です。あれだけ慎重極まりない先生にしてはアグレシッブ過ぎると思いました。

O医師「要はズレないように、今まで免荷してきたわけですが、もうズレてしまったので、免荷の意味がなくなってしまいました。もう普通に歩いてみてください。それで痛みが出ずに歩けるなら、それも一つの解決でしよう。」

O医師「それとも、引き続き1/3荷重で様子を見てもいいですよ。そっちの方がいいかもしれないな、いきなり全荷重より。どうしますか?」

無意味だった、、雨の日もクソ暑い日も満員電車の日も、あんなに苦労して免荷したのに、無意味…

また、彼が僕に治療方針について意見を求めたのは、これが最初で最後でした。彼自身もショックを受けていたのかもしれません。そうは言ったものの、全荷重とするか、引き続き1/3荷重でいくかで迷い始めました。ただ少しずつ荷重をかけながら様子を見るのは、もううんざりでした。結果はどうあれもう早く決着をつけたかったのです。

M「先生、既に時間をかけてきたし、もし全荷重でこれ以上ズレてしまうなら、もうこの骨で歩く事は出来ないという事なんだと思います。もともと人工股関節間違いなしと言われていたんです。ダメならもう一回手術するだけです。今日から全荷重にしたいと思います。」

O医師「そうですか、、わかりました」

席を立ってドアを開ける前に振り返って言いました。「全荷重に挑戦したいと思いますが、、やっぱり怖くなったらやめますね」

O医師は悲しそうに笑って言いました。

「それは構いません。お任せします」

 

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(上の写真が今回撮ったもので、下の写真が8月に撮ったもの。わずかだが、骨頭が手前側に回転しており、ズレが大きくなったように見えている。)